世界の曼荼羅(マンダラ)について
先日、偶然出会った絵画専門店にチベットから来た美しい曼荼羅(マンダラ)の絵画と出逢いました。
その曼荼羅を買い付けに行った方は、チベットまで曼荼羅を探しに行った方だそうです(曼荼羅の文字や意味を解読できる方)。とても美しい曼荼羅で、特別にポストカードとして販売していたので購入させていただきました。
様々なアートにもなっている美しい曼荼羅について今回ご紹介いたします。
曼荼羅(マンダラ)とは?
サンスクリット語の「manda(中心・心髄)+la(所有)」を意味し、「心髄(悟り)を有するもの」を意味します。また、「円・輪及び中心との関係」という意味を持ちます。
「円」は「完全・永遠」などの意味があることから、これが大元の語源であるといわれています。
聖域・仏の悟りの境地、世界観などを仏像・シンボル・文字などを用いて視覚的・象徴的に表したものを曼荼羅とよびます。
曼荼羅の構造は、創造と宇宙の調和を表し、内部にある小宇宙とその外部にある大宇宙を繋ぐものとなっています。
日本の仏教と曼荼羅
特に曼荼羅は密教において関係が深く、密教の教えである仏の世界観を絵にしたものともいわれています。
仏の世界は、「悟りの世界の胎蔵界(たいぞうかい)」と「智慧の世界の金剛界(こんごうかい)」が2つ揃うことで完成します。
これは左右・男女・陰陽のように、対極的でありながら同時に相補的でもあるという原理を表し、曼荼羅も胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅がセットであげられます。
日本での曼荼羅は主に、密教曼荼羅を指しています。
数ある曼荼羅の中でも代表的な、胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅をご紹介します。
両方の曼荼羅に描かれている大日如来は、「宇宙・永遠の真理・悟り」を意味しているといわれています。
《悟りの世界を表した胎蔵界曼荼羅》
大日如来の悟りの世界を表す胎蔵界曼荼羅は、四大護院とよばれる12の区画からなり、曼荼羅には描かれない東西南北の門を守る四大護院を合わせた13の院に414尊が描かれています。
胎蔵とは、子供が母親の胎内で育つように大日如来によって悟りの本質が生まれてくる様を意味し、大日如来を中心に描く蓮の花を中心に、悟りと慈悲が現実の世界に広がる様子が描かれているといわれています。
大きな慈悲で子どもを育てる母胎のようなイメージから、胎蔵曼荼羅ともよばれています。
《智慧の世界を表した金剛界曼荼羅》
金剛曼荼羅は、中央の成身会をはじめ、会とよばれる9の区画からなります。
金剛界の「金剛」はダイヤモンド(金剛石)のことを示し、大日如来の智慧は何者にも屈しないという強さを表しているといわれています。
胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅は、ともに大日如来を中心として表されていますが、それぞれの世界で手指でつくる印の形が異なっています。悟りと煩悩は本質的には同じであるという大乗仏教の教え、煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)を表しているといわれています。
世界の曼荼羅
曼荼羅アートは世界各国で見られ、あらゆる素材や模様・シンボルで表現をされています。その一部をご紹介します。
・チベット僧侶 砂曼荼羅
チベットの僧侶が鮮やかな砂で描く、砂曼荼羅があります。
極彩色の砂曼荼羅は、仏が住む宇宙を表すといわれています。その繊細な美しさはひと目見るだけで悪行を清め、世界の浄化を促すといわれるほどです。
およそ一週間かけて描き上げられた砂曼荼羅は、祈りが終わるとすぐに壊されます。
諸行無常の教えの象徴であるといわれています。
すべての砂の一粒一粒は、僧侶たちによって祝福の祈りがささげられ、そして川に流されることで海に広がり、やがて世界にその祈りを広げることになるといわれています。
・ケルト模様 トリケラ(トリニティ・ノット)
古代ヨーロッパに広く居住していたとされ、ケルト語を用いるケルト人が使用していたケルト模様があります。
トリニティ・ノット(3つの結び目)ともよばれています。三位一体を表す図でもあります。
「心・体・魂」や、「生命・死・再生」などの意味をもち、これらがすべて中和されてバランスを保つという秩序の表れのシンボルです。
自然崇拝のケルト人の「転生」の象徴としても使われます。
円が組み合わさることで「永遠」という概念が追加され、3つの結びつきの力を強調しています。
・六芒星
サンスクリット語で「円・中心・本質」を表し、「集合的意識・宇宙・繋がり」を表すシンボルです。
六芒星は、シュメール文明時代にバビロニアなどで魔除けとして使われていました。
日本では「籠目紋(かごめもん)」とよびます。
魔物が嫌うシンボルとして信じられ、戦国時代には九字紋と籠目紋(六芒星)が様々な所へ刺繍されていたといわれています。
チベットの寺院には、聖域を守る柱の下に結界として六芒星のシンボルを使用しています。
六芒星の古くからの意味
イスラエル三代目の主ソロモンは、大天使ミカエルから指輪を授かり、その指輪には六芒星が使われていたといわれています。
六芒星は、正三角形と逆三角形が重なり合ってできているシンボルです。それぞれの意味をご紹介します。
【正三角形】
能動的原理・水を表す・女性性エネルギーの象徴
【逆三角形】
受動的原理・火を表す・男性性エネルギーの象徴・霊的(精神)エネルギーの象徴
【正三角形+逆三角形=六芒星】
2つで調和を意味します。光と影・天と地・陰と陽・表裏一体を表します。
また、六角形の「6」は調和と安定の意味があります。
・五芒星
「地(土)・水・火・風・空」を意味します。下記はそれぞれが意味する内容です。
- 地(土)・・・確固として動かないこと
- 水・・・柔軟性・変化への適応
- 火・・・力強さ・情熱・動機欲求
- 風・・・成長・拡大・自由
- 空・・・あるがまま・全てを包み込む
密教や修験道では、星のかわりに「大」を5つの線と考え、魔除けとして使います。
また、星型は弘法大師によって「大」の字に改められたともいわれています。
京都の五山送り火「大文字焼き」などは有名ですよね。
・細胞分裂から派生したシンボル
ヴェシカパイシス
生命(宇宙)の始まりを意味します。また、物質の世界と物質ではない世界を表します。
元々の細胞分裂の形ともいわれています。ここをスタートとして様々なシンボルが派生していきました。
シードオブライフ(生命の種)
中心円を中心とし、6つの円が重なるシンボル。
生命を作り出す形といわれています。
七星陣・七曜
光と影・陰と陽を象徴するシンボル。
天の守護神、北斗七星を表現します。
ツリーオブライフ(生命の樹)・フルーツオブライフ(生命の果実)
ツリーオブライフは人間と天上界の橋渡し役を担うといわれているシンボル。
フルーツオブライフは、今よりも更に広がる未来の可能性を暗示しているシンボル。
・フラワーオブライフ
生命のサイクルを意味します。
種を撒く→木になる→花を咲かせる→果実になる→種が出来る→新たな木になる→新たな花を咲かせる→新たな果実になる→∞
これは永遠を意味し、円になるといわれています。
・メタトロンキューブ
大天使メタトロンのシンボルです。
大天使メタトロンはユダヤの天使を指します。天使でありながら神に近い存在として考えられ、「炎の柱」ともいわれています。
バランスを正し、邪悪から身を護る護符としての意味があり、宇宙の叡智を受け取ることができるといわれるシンボルです。
メタトロンキューブの活用法として、メタトロンをじっと見つめ続けゆっくり深い呼吸をします。すると不安や邪念を消す心の浄化ができるといわれています。
身近にある曼荼羅の世界
私たちの周りには、たくさんのシンボルや形が日常にあふれています。
なんとなく目にしているカタチに、実は深い意味が隠されていることもあるかもしれません。
私が絵画店で購入した曼荼羅のポストカードには、中央に六芒星が描かれていました。
六芒星が描かれている曼荼羅は初めて見たので不思議な感覚になりました。
みなさんも身近にあるシンボルや形に込められたメッセージを感じてみてください。