デザイナーコラム

旅記Ⅵ|7年に一度の御開帳 善光寺@長野

行った事がない土地や神社はまだまだたくさんあります。
ご縁があって行った土地や神社仏閣、みなさんに紹介したい素敵な場所などを「旅記」としてご紹介して行きたいと思います。

今回は長野県善光寺の7年に一度、絶対秘仏であるご本尊の御身代わり『前立本尊』を本堂にお迎えして行う「善光寺前立本尊御開帳」に行ってきましたのでご紹介いたします。

善光寺御開帳とは?

最近、駅の構内などで「善光寺 御開帳」のチラシを貼ってあるのを目にした人も多いかと思います。
善光寺とは、一光三尊阿弥陀如来像(いっこうさんぞんあみだにょらい)をご本尊として1400年ほど前に創建された単立仏教寺院になります。

ご本尊は、552年の仏教伝来の際に、百済(古代の朝鮮半島)から渡ってきた仏像で、日本最古の歴史ある仏像といわれています。
善光寺の一光三尊阿弥陀如来は、一つの光背の中央に阿弥陀如来、向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩が並ぶ独特のお姿をされています。

また、善光寺は無宗派のお寺です。
宗派という壁がなく、誰でも参拝できることから、古くから広い信仰を集めてきました。江戸時代には、「一生に一度は善光寺詣り」といわれていたほどです。

その善光寺で、数え年で7年に一度「御開帳」が開催されます。
ご本尊は絶対秘仏なので、実物を見ることはできませんが、その代わりにご本尊の分身である「前立本尊(まえだちほんぞん)」を御開帳の時にだけ拝むことができます。
期間中に本殿前に置かれる「回向柱(えこうばしら)」が「善の綱」とよばれる綱で前立本尊と結ばれていることから、その柱を触れると前立本尊に触れるのと同じご利益があるといわれています。
(令和4年の御開帳期間:4月3日~6月29日)

長野県 善光寺の見どころは?

善光寺境内の敷地は大変広く、見どころ満載です。
私が行った時期は桜も満開で手入れが行き届いた木々がとても綺麗でした。5月から6月頃は新緑が美しいと思います。
善光寺をぐるりと巡って、特に良かった所を今回ご紹介します。

♦歴史ある仁王門や山門

善光寺の玄関口である仁王門をくぐり、仲見世通りを抜けた先には重要文化財である大きな山門があります。
山門の上部に掲げられている「善光寺」の額文字には、5羽の鳩が隠されています。この額は、鳩字の額とよばれており大変有名な額となっています。鳩は、善の字に2羽、光の字に2羽、寺の字に1羽隠れています。
さらに、「善」の字に牛の顔も隠れています。「牛に引かれて善光寺詣り」の話に基づき、牛を表現したといわれています。

仁王門や山門がありますが、とても歴史を感じる重厚な佇まいです。
本堂に到着する前にたくさんの歴史に触れられて、昔の人は機械もない時代にこんな立派なものを建てられて、それが今も現存しているなんて心底すごいな~と感じました。

♦善光寺の本堂 お戒壇巡り

国宝に指定されている善光寺の本堂は圧巻です。


敷地も大変広く、本堂で体験できる「お戒壇巡り」はとてもオススメです。前立本尊お戒壇巡り参拝券(大人一般600円)を購入して臨みます。(御開帳参拝共通券 大人1200円もありました。)
先ず、前立本尊を目の前に参拝することができ、大変ありがたいエネルギーをとても近くで受けることができます。
その後本堂の最奥にある、ご本尊の真下を通る真っ暗な通路を通ります。
本当に真っ暗で何も見えません。暗闇の中を進み途中の「極楽の錠前(じょうまえ)」を探って触ります。この錠前はご本尊と結ばれており、直接ご縁を結べるといわれています。

私は、お戒壇巡りのことはなにも調べないで行ったので、手探りで前の人の真似をして何とか錠前を触ることができました。
あとで調べたら極楽の錠前ということが分かって大変ありがたかったです。
ただ、本当に地下道は漆黒なので横の手すりは離せません。階段も急なのでお気をつけてお巡りください。
ご本尊の下を通るというなかなかできない有難い体験をさせていただきました。

♦極楽浄土を保証してくれる御印文

こちらも本堂内の敷地で行えます。(「御印文頂戴はこちら」と看板があります)
御印文とは、善光寺のご本尊と同じ閻浮檀金(えんぶだごん)で作られているといわれる善光寺の宝印です。この印を額に押してもらうことで、極楽浄土が叶うといわれています。
額というか、頭を少し下げて頭の上にゴンっと僧侶さんが御印文を押してくださいます。宝印はずっしり重たく感じられました。
御印文頂戴は、通常お正月の7日~15日の間だけに行われており、お正月以外に授かる方法はないようなので御開帳の時に押していただけるのはとってもありがたいです。

♦つるつるのびんずる尊者像

本堂へ入り右側に、つるつるのびんずる尊者像があります。通称は「おびんずるさん」とよばれています。
おびんずるさんは、お釈迦様の弟子の中でも特に神通力が強く、病気を治す力を持っていたと伝えられます。そのため、像にも病を治す霊験があると信じられ、治したい部分を撫でて治癒を祈ります。
300年以上も人々に撫でられ続けたおびんずるさんは、つるつるピカピカです。

♦お経をあげたと同様の功徳がある輪蔵

本堂脇の東に位置する経蔵にて行えます。経蔵は重要文化財に指定されています。
経蔵参拝券(大人一般300円)を購入して中を拝観できます。

中には八角の輪蔵(りんぞう)があり、さらにその中には全てのお経を網羅した「一切経」が収められています。
輪蔵は円状に動くようになっており、腕木を押して1周まわすことにより、中の全ての経典を読むことと同様に扱われ、功徳を得られると言い伝えられています。
輪蔵は重たいので、居合わせた何名かで息を合わせて回します。回し始めは結構重たいのですが、勢いがつけばスルスルと回すことができました。
全ての経典を読むなんて一生かけても出来ないかもしれません。こちらの輪蔵を回すだけで経典の功徳が得られるなんてとてもありがたく1周させていただきました。
他にも経蔵の中には、釈迦如来像や伝教大師像、慈恵大師の像などが祀られていました。

経蔵を出て見える、十字の木がとても独特でした。十字にも見えるし、卍(万字)にも見えるような不思議な木がありました。

♦一字一願 般若心経奉納

鐘楼の裏辺りに一字写経を奉納できる場所がありました。
般若心経の中から好きな一文字を選んで書き、その下にお願いごとと住所と名前を記載します。
奉納された一字写経は善光寺でお焚き上げの浄火により焼納してもらえます。
気軽に立ったまま書くことができるので、心を込めた一文字を奉納してみてはいかがでしょうか。

♦護摩祈願が素晴らしい 善光寺本坊 大勧進

本堂の南西に位置する場所に「大勧進」というお寺があります。
大勧進は善光寺の境内にありますが、天台宗の寺院となります。
護摩堂では護摩祈願をしており、ここが素晴らしく良かったです。
護摩とは、不動明王様の炎によって煩悩を焼き払い、願いを成就するように拝む密教の修法です。こちらは、智証大師円珍作と伝えられている不動明王様です。古来より厄除け不動尊として信仰を受け、日本三大不動尊の一つとして崇められてきました。
護摩堂では毎日5回奉修が行われているそうなので、タイミングがあったら読経を聞いてみてはいかかでしょうか。
今回、偶然護摩祈祷を見させていただきましたが、力強い読経と響く太鼓の音で心身共にスカッとする護摩祈祷でした。

また、放生池を見渡せるカフェが大勧進の大門入って左手の紫雲閣内にありとっても良かったです。(期間限定かもしれません)
境内は広いので、歩き疲れた際に休憩できる場所があるのは大変ありがたいです。放生池を見ながらのコーヒーもとっても癒されました。

♦善光寺 世尊院 小御堂(釈迦堂)

世尊院は、善光寺表参道の仁王門と山門の間にある天台宗の寺院です。


世尊院の本堂は日本で唯一の等身大「釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)」が祀られ、釈迦堂と呼ばれています。こちらの釈迦涅槃像は国重要文化財に指定されています。
善光寺のご本尊でもある阿弥陀如来は来世を守り、釈迦堂のご本尊である釈迦如来は現世を守る仏様といわれています。
また、涅槃(ねはん)とはすべての煩悩から解き放たれた境地のことをいいます。

横になった等身大のお釈迦様の像は初めて見ました。まさに解き放たれています。とってもリラックスしているお顔が印象的な優しい癒される釈迦涅槃像でした。
こちらで売っている甘茶香というお線香の香りが良く、少し甘い香りですが癒される優しい香りです。
受付の方もとても優しくて、雰囲気の良い釈迦堂でした。

見どころ満載! 善光寺表参道

善光寺駅から本堂に向かう表参道には、たくさんのお土産屋さんや飲食店が立ち並んでおりとっても賑やかで楽しい参道となっています。
参道で食べたソフトクリームやお焼き、お蕎麦はとっても美味しかったです^^

境内は広々としていて、仏教のテーマパークのようで一日中いても飽きずに本当に楽しかったです。
今回善光寺へは初めて行きましたが、またぜひ行きたい素敵な寺院でした。
長野は、善光寺をはじめ戸隠神社など霊験あらたかな神社仏閣が大変多い素晴らしい土地でした。

 

あなたにオススメの記事